時は2020年4月。
当初の予想とは裏腹にコロナウイルスは落ち着くどころか猛威を振るって悪化していった。
そしてついに国は緊急事態宣言を発令する。
このときもまだそこまで大ごとには考えず夏くらいには終息すると思っていた。
テレワークの導入開始
それに伴い、会社もテレワークを導入せざる終えなくなった。
とはいえ、紙での業務があるので他の同僚と交代で週に2~3日のテレワークというペースだ。
最初は手元に紙の資料がない分、すごくやりづらかった。
なにしろ手元の資料を見ながらPCの情報と比較して誤りがないか見るのが主な仕事だったので、
取引先との守秘義務契約上、万一でも電車内でなくしては大変なことになる。
このため、通常勤務はまだしも、テレワークでの効率は慣れるまでものすごく落ちてしまった。
とはいえ、慣れてくると仕事はもちろん、家庭でも好循環をもたらした。
テレワークの利点
テレワークの利点その1
通勤がないこと。
比較的近い職場とはいえ、徒歩の時間や電車の待ち時間を加えると1時間はかかる。
おまけに満員電車だった。
それがなくなったのだ。
ストレスフリーになるうえ、保育園登園後、少しまったりする時間も取れ、自分のペースで業務開始ができるようになった。
これが想像以上に大きかった。
正直この頃あたりから保育園登園後1時間仮眠を取って出勤することが増えていた。
最初のころは登園が完了したら家に戻り、カバンを持ってそのまま出勤していた。
しかし、普通の睡眠では疲れが取れなくなったのと、幸い会社はフレックスタイム(いわゆる一定の拘束時間をのぞけばいつでも出勤可能)という形態を取っていたので出勤時間を9時半から10時にずらすことも可能だった。
それもテレワークならより多くの時間ゆっくりと休んでから仕事に移れるのでありがたかった。
テレワークの利点その2
保育園のお迎えを私ができる。
保育園は18時までにお迎えに行かなければならない。
これは残業なしでも18時退勤の私では不可能だったのでいつも妻の役目だった。
妻の方が職場は遠いが、無理いって時短勤務にしてもらいお迎えはお願いしていたのだ。
テレワークなら自宅が職場なので17時半に一旦お迎えに行くことができる。
妻もお迎えに合わせて慌てて仕事を切り上げなくて済むようになったのでストレスがなくなり満足していた。
普段ママがお迎え担当なので娘は大喜び。
大はしゃぎして、
といいながらダッシュして笑顔で私に抱き着いてくる。
幸せの一コマだ。
この笑顔のおかげで仕事でしていたミスや指摘で凹んでいた嫌な思いも吹き飛ばされる。
この反応が見れるのもテレワークの利点だ。
この頃はそうだった。この頃は………
一方、業務面では
ただ、テレワークもいいことばかりではなかった。
テレワークになったとはいえ、業務量が減ったわけではない。
むしろ紙資料が使えないことで効率性が落ちて残業も増えてしまったのだ。
このため、お迎え後も子供がそばにいる中で引き続き22時くらいまで仕事をすることが当たり前にあった。
ただ、会社側からは仕事をちゃんとしているか見えないため、9時~17時半をみなし勤務として、それ以外の時間はたとえ本当に仕事をしていても残業代は出ない。
普段、社内勤務でも当たり前に残って遅くまで残業しているのに、17時半までで終わるわけがなかった。
このため、仕事を終わらせてからお迎えなど一度もなかった。
ちょっとした息抜きにお迎えに行っている感覚。
けどそれはそれでいい息抜きになっていた。
ただ仕事のオンオフと切り替えも最初は慣れなかった。
仕事を終えても、お風呂の中でやり残しを思い出し、明日に回すくらいならと仕事を再開してしまったりなどしょっちゅうだった。
とはいえ、起きている娘をいつでも見れるし、仕事が終われば電車を使う必要なくそのままオフモードになれるので、利点の方が大きく感じていた。
テレワークへの期待感
やっと慣れてきたテレワーク。
娘と過ごしながら仕事ができるテレワーク。
このまま仕事のやり方そのものが変わってほしいと切に願った。
その結果、願いが通じたのかコロナが終息しない限り、テレワークの継続を会社が宣言してくれた。
しかし、私には思わぬことが起きてしまった。
第5話へ続く
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